オブジェクト指向は、現代のプログラミングにおいて広く用いられる開発手法であり、多くの開発者にとって基本的なスキルとなっています。その理由は、オブジェクト指向によってプログラムの再利用性や拡張性が高まるため、開発プロセスの効率化やプログラムの品質向上につながるからです。
今回はそんなオブジェクト指向の概要について、初心者の方にもわかりやすく説明していきます!
私は日頃から実務でJavaを用いたシステムの開発をしています。
そのためオブジェクト指向には毎日触れています。
オブジェクト指向とは?
オブジェクト指向とは、プログラミングの手法の1つで、現実世界の物や概念をプログラムの中で表現するための考え方です。オブジェクト指向では「オブジェクト」という単位で情報を扱います。オブジェクトは、プログラムの中で独立して存在し、互いに連携しながら動作します。
ここで気をつけたいのが、オブジェクト指向とは考え方の一つであり、「オブジェクト指向」というプラグラミング言語は存在しないことです。
オブジェクト指向を用いたプログラミング言語として、主にJava、C++、Python、Ruby、PHP、JavaScriptなどが挙げられます。
クラスとインスタンス
オブジェクト指向での重要な概念として「クラス」と「インスタンス」があります。
クラスとは、オブジェクトの設計図(雛形ともいわれます)です。クラスを用いて、オブジェクトが持つ属性(フィールド)や操作(メソッド)を定義します。
またクラスから生成されたオブジェクトのことをインスタンスと呼びます。インスタンスは、それぞれがクラスの設計図により生成され、例え同じクラスから生成されても別のインスタンスとは異なる状態を持つことが可能です。
例えば会社の社員情報管理システムを考えましょう。社員の一人に社員番号が1001、所属が営業部、東京で勤務している社員太郎という人がいます。また、社員番号が1002、所属が開発部、大阪で勤務している雇用一郎という人もいます。この時、クラスとオブジェクトをUML(Unified Modeling Language)という図で表現すると次のようになります。
このようにクラスにはオブジェクトがどのような属性と操作を持つのかという定義のみ記述されますが、そこから生成されたオブジェクトは属性に具体的な値を持つことになります。会社に社員はたくさんいますので、その分オブジェクトもたくさん必要になりますが、クラスを基に簡単に複製することができます。
ここで気をつけたいのが、オブジェクトという言葉は広義の意味ではクラスとインスタンスを含むということです。この広義のオブジェクトと区別するために、クラスから生成されたオブジェクトをインスタンスと呼んでいます。
オブジェクト指向の利点
オブジェクト指向の利点としては、以下のようなものがあります。
一度作成したプログラムを再利用しやすい
オブジェクト指向は、オブジェクトを再利用可能な部品として扱います。そのため、開発者は同じオブジェクトを複数回作成する必要がなくなり、プログラムの開発時間を短縮することができます。これは「クラスとインスタンス」の社員情報管理の説明でも分かると思います。
IT分野では、このことを「再利用性が高い」といいます。
メンテナンスがしやすい
オブジェクト指向を用いて作られたシステムは、変更に対する柔軟性が高いため、メンテナンスがしやすいです。もし既存システムに変更が入っても、開発者は変更が必要な部分だけを修正することができるため、その他の部分には影響を与えづらい仕組みとなっています。
IT分野では、このようなことを「保守性が高い」といいます。
この利点は、日頃開発を行なっていて特に実感します!
機能追加や性能向上がしやすい
オブジェクト指向では、継承やポリモーフィズムといった概念を使用して、既存のクラスを修正したり、新しい機能を追加したりすることができます。これにより、プログラムの修正や追加機能の開発が容易になります。継承やポリモーフィズムに関してもオブジェクト指向では重要な概念となるため、また別の記事でご説明したいと思います。
IT分野ではこのようなことを「拡張性が高い」といいます。
まとめ
本記事では、オブジェクト指向の概要についてご説明しました。
オブジェクト指向は再利用性や保守性の高さから、複数人でのシステム開発やゲーム開発などの場において欠かせない考え方となっています。将来そのような業務に就きたい方は、是非とも勉強してみてください。
ここでは説明しきれなかった概念等もありますので、またオブジェクト指向に関する記事を書きたいと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました!
コメント